micasso’s diary

Welcome to my page!!イギリスの大学に通う舞台演出家志望の20歳による日々思ったことや留学情報についてのブログ

花束のない君へ

皆さんお久しぶりです、ミカソです:)いかがお過ごしでしょうか!

 

実は私、劇団ノーミーツさん主催の「全国学生オンライン演劇祭」に応募するために、11月から2月末までオンライン演劇をしていました。

これを機に初めてのオンライン演劇の制作に関わり、そして、初めての監督・脚本・演出を担当しました。

結果から言うと、残念ながら決勝には行けず、観客にライブ配信での演劇を届けることが出来なかったが、私の中では決して「残念ながら」ということではなくて、今の実力と本当の好きを知るようになった4か月間だった。

 

今日は制作のの話と私の葛藤の話、そして感謝の言葉をブログにて沢山の言葉を綴りたいと思います。

最後に制作した演劇の動画リンクも掲載しているので、是非ご覧ください!!✨

 

(演劇祭についてこちらのリンクをご覧ください↓)

 

 

 

制作を始めるきっかけは本当に思いがけないところから。

 

10月末、私の大好きな劇団ノーミーツさんが演劇祭をやることをツイッターで知ることになったけど、1人ではなかなか踏み出せずにいました。

だけど、たまたまインターンてた会社で「演劇に関わりたい」という話を面談で友人Eにしたところ、演劇に興味あるKを紹介してくれて、はじめましてのKが「劇団ノーミーツって全国学生オンライン演劇祭やるみたいだよ」という話を持ち出してくれた。その場すぐに今までの私の葛藤はなんだったんだろうかというレベルで「やろう!!!」と前向きになり、それからとんでもないスピード感で2週間もしないうちに会社内でオンライン演劇ワークショップをして、メンバー集めから始めることにした。そんな11月の中旬。

 

そうして集まったメンバーは10人。日本国内で勉強してる大学生、海外で勉強してる大学生、海外のオンライン授業を日本から受けている大学生、そして高校生。日本で住んでる場所も違うし、海外なら大陸までもが異なってる(笑)今回が初めて演劇に触れた人から演者経験のある人まで。

※ただこの人数で生活してる時間帯も違うから、全部が終わった今でも10人全員で集まったことがない(笑)オンラインでもいいからみんな集まってる場を観てみたい

 

こんな調子で順調に進めれるのかなと思いきや、もちろん上手くいけることがなく、役者たちには12月中旬にクランクアップする予定って宣言していたのに、12月中旬に脚本制作と同時進行に稽古を始めるのが精いっぱいだった。

気づけば「あれ?これ本当に〆切までに本当に作り切るのだろうか?」って不安を抱えながら、年末年始ずっと共同で脚本演出をしてくれたKと脚本会議を。1時間でやるつもりが、3時間でも終わらない、気づけば深夜3時だ…みたいなこともしばしば。当時は本当に焦りしかなくて、でも焦っても納得のいくアイデアも出てこないし、話をどう進めるのかもキャラクターの背景どうなのかもわからず、遠くの完成のゴール(〆切)が見えているのに、まだスタート地点からの道の線すらもぼやけているような状態だった。みんなの意見や本来の素質を取り入れようと思い、脚本がしっかりしないまま稽古が進むから、本当のセリフが確定できないまま1月になってしまい…

そんな中、有難い(?)ことに、なんと演劇祭の〆切が1月末から2月末となったので、結局1月末まで稽古&撮影をすることに。脚本で彷徨いすぎたあげく、ラストシーンの撮影当日のギリギリまで結末が決まらないこともあったし、ラストシーンの出るキャラクターが変更になったから大役1人気づけばクランクアップみたいなこともあった。役者にとってセリフ初見で撮影ってこともあったし、日程調整がうまくいかずに1日何時間もオンライン上拘束してしまったりして。

ようやく撮影が終わったとしても、その後の編集作業もギリギリまで粘って、〆切の15分くらい前にやっと提出するという。共同ディレクターのKとは、「どうする?多分Wi-fi遅くて提出間に合わないぞ?」という会話もした(笑)うちの高速Wi-fiに感謝(笑)

 

こうやって4か月間が過ぎた。短かった。長かった。

稽古と撮影のない夜はなんだか寂しかった。時間は足りなかったけど、「やっと終わった」という感じもあった。

全部出し切ったけど、自分の中では納得いかないような、不完全燃焼のようなものも残ってた。

 

 

今このブログを書くまで、稽古終了からは2か月、編集終了から1か月、結果発表から1か月が経ってしまっています。自分に自信がなくて、自分の中ではなんだかやり切れていなくて、ずっと「本当にこれは私の作品と呼んでいいのだろうか」「私ってどういう役割を果たせたのかな」と感じる部分が多くあった。

もうあのプロジェクトから時間が少し経ったから、というよりも、演劇祭の決勝戦を観て、全国でこんなにも演劇に真剣に向き合っている学生がいるって知ったから、もっと真剣に振り返らないといけないなと思った。やっと「次につなげる」という勇気が出たので今書いてるのかな、私。

まあ、そんな長い前提は置いといて、監督・脚本・演出って演劇でいうとリーダー(あんまりこの表現は好きじゃないが)や責任者に値するものだと思っていて、本当に自分はそれに見合った仕事が出来たのかってずっと疑問だった。自分の生み出せる価値を考えていた。

私の中では「役者にとっても観客にとっても自分らしく安心できる演劇環境を創りたい」と思っていたから、本当は「みんなと共に創りあげていく」という基で、みんなをまとめて1つの目標に引っ張って行きつつも、役者自身が成長につながるような導き役になれたらいいなって密かに目標にしていた。

本当に出来ていたのかがわからない。確かにみんなの演技やコメントを出来るだけ脚本に反映したし、最初と最後で演技がめっちゃ良くなった子もいる。しかしそれは本当に私がいたからなのか?

みんなが真剣に向き合ってくれたからこそ、抱えていた悩みかもしれない。

みんなのアイデアが面白くて、気づけば脚本書いてるのに自分はどの部分を書いていたのかがわからなくなる。みんなでお互いのフィードバックをいい所も悪い所も改善案も全部語るからこそ、私のコメントって本当にその人に向き合えているのだろうか、他人のを真似せずに本当に私の脳から出た唯一無二の視点なのかがわからなくなる。

こうやって稽古と撮影が進んでいけばいくほど「 自分はそこにいるはずなのにそこにいない」という気がした。自分の存在価値がわからないから、正直クレジットに私の名前抜きにしようとさえも思った。

ただ自分では時間かけたと思っているし、夢の中でお稽古していたくらいだから頭の中もこのことばかりだったと思う、だから本音は自分の作品って誇りを持って言いたいところ。だが、本当の演劇人ならもっと命を削るような勢いで脚本書いたり、リサーチしたりして命を削るような思いで向き合っているのかと思うと、自分の理想像と現実像に距離があった。

 

そういった色んな想いが心の中で巡っていたら、結果発表の日が来た。3月1日。

たまたまツイッター見ていたら、結果発表のツイートに指が止まって、そこには名前がなかった。

本来ならきっと泣くであろう泣き虫な私が不思議と一滴も涙が出なかった。むしろ安堵した気持ちが大きかった。自分の実力不足に痛感して、「このチームに私は何を貢献したのだろうか」「本気で24時間覚悟を持って向き合えたのか」って最後まで自分の価値を問い続けたし、自分に納得がいかなかった、自分が許せなかったから。(3人の私が心の中にいるみたいで、「あんだけ頑張ってたのに悔しい!」という私と、「決勝まで耐えきる気がしないから落ちてよかった」という私と、「そっか、やっぱり私の実力が足りないんだ。」という私がいた。)

 

 

やっと振り返れると思ったのは、この4か月間って間違いなく私の成長に繋げれたって自分の中で整理がついたから。数えきれないほどの泣き笑いがあって、その中でも主に思ったのは以下の3つ。

 

1つ目、演劇が大好き、そして将来絶対演劇の道に進みたい。

制作中何回もくじけそうになったし、自分をネガティブに捉えることが多かったけど、全てに共通していたことは「演劇が好きだから、もっとしたい」。初めてのことだらけでしんどかったけど、また何回でもこの感じを味わいたいと思った。

私の中のワクワクすることの軸は演劇だと改めて気づかされた。私の日常の中で私を笑わせることが出来るのも、泣かせることが出来るのも演劇だった。自分の実力不足と思想不足で悔しい結果になったから、だからもっと真剣に向き合いたい。演劇のことしか考えたくない。

この劇の主人公が放った「好きだからやるしかないんだよ」って言葉がまさに私に必要な言葉ではないかって。

 

2つ目、自分で環境変えたっていい。

制作中にKに「このキャラクターの気持ち本当にわからないから物語が書けない」という事件が発生して、そのキャラクターがこれから自分の環境を変える子で。今までの私は「置かれた場所で咲きなさい」という言葉を大切にして、与えられたものや環境があれば、それをどう自分で活用するのかを重視していたから、凄く衝撃だったのが覚えてる。ただ制作終了してからこれからどうすればいいのかがわからない時にふとこのキャラクターを思い出した。「今の自分の周囲のこの環境がなければ、無理して見出すのではなく、自分から他の世界に飛び込んでいけばいいんだ」って知った。

環境に甘えずに、もっとこれから新たな挑戦に踏み出す、また、本気で演劇に向き合うきっかけになった。

 

3つ目、仲間がいたからこそここまで来れた。

上記の文章からもう既にこのことについて沢山書いてるけど(笑)

9人のメンバーたちのお陰で沢山学ばされて、アイデアもブラッシュアップ出来て、想像を超えてきた。

まさに"If you want to go quickly, go alone. If you want to go far, go together."という言葉が似合う。

気づけば私はこの言葉をいつの間にか忘れていたけど、メンバーが思い出させてくれた。愛しのメンバーたちは私が抱え込んでしまった時に画面上でも即座に気付いてくれて、話を聞いてくれて、丁寧なアドバイスをくれた。「私がこの場所にいていいんだ」という価値をくれた。最終的には、「これが私の作品です」って周りに言えるようにしてくれた。

本当にありがとう。

 

 

 結果は花を咲かせることが出来なかったし、実際に会って花束を渡すことがないから、そんな、「花束のない君へ」、気持ちだけでも花束を捧げようと思う。

 

話を持ち出してくれて、最後まで私を見捨てずに共同で脚本演出してくれて、素敵な名前とタイトルデザインを生み出してくれたK

Kを紹介してくれて、真剣にキャラクターの感情と向き合い、言葉の違和感をすぐに教えてくれたE

フィードバックをすぐに演技に反映してくれて、演じるのがとても難しい役を最後自分で操ってくれていたS

元々の雰囲気から着想得たキャラクターをさらに存在感を持たせてくれたA

安定すぎると迫真すぎる演技で場を一気に世界観に引き込めてくれたM

戸惑いを正直にぶつけてくれて、ポジティブにもネガティブにも捉えれる役の気持ちを真剣に考えてくれたY

フィードバックの仕方が丁寧で、場の雰囲気を柔らかくしてくれたN

声だけの出演でもちゃんと存在感残してくれたS

最後のギリギリまで動画編集を諦めずに付き合ってくれたK

 

1人でもいなければ、この作品は完成しなかったと思います。

本当に個性色豊かなメンバーで、みんなそれぞれが真剣に向き合ってくれたから、届けたいと思ったから、この私たちにしかできない作品をこれから誰かしらに届けることが出来る。

みんな本当にありがとう。信じてくれて、支えてくれて。

 

 

そして、最後となってしまいましたが、

こんな素敵な機会をくださった劇団ノーミーツの方々、この約5000字もするブログをここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。

私たちの作った作品、「花束のない君へ」、是非ご覧ください!!!!!

私たちの描いた高校生の進路・将来への不安、きっと画面の向こうのあなたも感じたことがあった日常ではないのかと思います。

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ミカソ

Twitter: @micasso_uk